Logo第一研究室優秀作品保管室>Silpheed

SS77−Silpheed 発進せよ
Silpheed シリーズ
 株式会社ゲームアーツ
 株式会社トレジャー

お勧め度 作品 機種
Silpheed (PC88)(FujitsuPC[FM77AV])
Silpheed (MCD)
Silpheed TheLostPlanet (PS2)

シリーズに関して


 基本的に宇宙を舞台としたSTG。この基幹部分はシリーズを通して共通です。そして、この宇宙にちらばる物語をいかに美しく、効果的に見せるか。いかのその時その時のプログラム開発技術を使い切るか。このシリーズはこの二点に重きを置いていると思います。
 全体を通しての共通部分はその独特な武器選択システム。いくつかある武器から左右別々に装備する武器を選択することができ、攻略の方法に幅を持たせています。また、最初はあまり良い武器は使えないのですが、得点を重ねるにつれて強力な武器を使えるようになることも共通項です。

Shilpheed From 8801

 1986年、NECのパソコンPC−8801で一作目の「Silpheed」は発売されました。くるくるとワイヤーフレームのメカが動くデモ、いきなり出てきてしゃべる敵とオープニングから驚きの連続でした。
 このゲーム、当時としては驚くべきことにすべてのキャラクタが3Dポリゴンを使用して表現されています。これにより、ハーフトップビューという、迫力ある画面演出に優れた視点を採用することができ、迫ってくる敵の威圧感を増すことに成功しています。

めちゃくちゃな難易度

 ゲームとしてみたとき、この作品の一番の特徴はその激しい難易度でしょう。ステージは非常に長く全部で20ステージもあり、まともにやって全ステージをクリアしようとすると二時間近くかかります。
 また、この作品ではシリーズのほかの作品とは違って、一度強力な武器を使用すると、ある程度の得点を稼ぐまでその武器を再び使えなくなってしまうためある程度までは弱い武器で進む必要があります。私の記憶では、12面まで一番弱い武器のみで進むことが攻略への一番の近道であったはずです。ラスボスの戦艦“グロアール”は両翼に最強のレーザーを装備してもとても強く、このゲームをまともにクリアしたことのある人は数えるほどではないのでしょうか。
 私?私はぜんぜんだめでした。3つめの要塞くらいで、いつも終わってました。(爆)

レーザー!!

 このゲームで何気なく気に入っている要素。それは敵味方のレーザーです。
 普通、どのSTGでもよほど敵と隣接していない限り敵弾が発射即命中することはありません。しかし、このゲームで敵が撃ってくるレーザーはそのままレーザーなのです。
 どういうことかというと、敵が出現し、レーザーを撃つとレーザーをあらわす敵の線が一瞬表示され、そして消えます。その一瞬表示される線に自機が触れると、即アウトです。つまり、レーザーを撃つ敵が現れたらその敵の射線に入っては駄目。敵にレーザーを撃たれたらよけることは不可能なのです。
 考えてみればレーザーは光学兵器であり、その発射は一瞬でなければなりません。この作品のレーザーはそれを見事に再現しており、私のお気に入りです。
 ちなみに、自機のレーザーもそこそこ速く飛んで行きます。

Shilpheed From MegaCD

 7年ぶりの1993年、DualCPUというMegaCD最大の特徴を最大限に生かし、この作品は生まれました。システム的には前作と比べて難易度を押さえ、また両翼の武器に加えて使用回数制限のある4種類のサブウエポンを選択できるようになりました。
 ……後述しますが、このサブウエポンをうまく使用しないととてもではないですがクリアできません。(汗)
 全体のステージ構成はこれでもかと言うくらい3Dポリゴンの使用。当時のハードにはテクスチャマッピングなどという機能はありませんから、どんな細かい部品でもすべて一枚一枚ポリゴンで表現されていました。
 これは各ステージの表現も同じで、4面の建設中要塞、8面の大艦隊などもすべてポリゴン。当時としてはまさにハードの性能を限界まで使い切った作品だったわけです。

爆発

 この作品では数々の爆発シーンが登場しますが、宇宙空間で、巨大な物体が、ゆっくりと多方向に分解飛散していく様は非常に美しく、目を奪われます。
 特にステージ1で敵艦の主砲をまともにくらって爆発する見方の巡洋艦はこれでもかと言うほど部品が細かく書き込まれていて、この作品の真骨頂といえるでしょう。

グロアール

 「Silpheed」と言えばラスボスは戦艦グロアール。ということで、パソコン版からは姿を変えながらも真のラスボスとして戦艦グロアールが登場します。
 この戦艦、最初はさっぱり倒し方がわかりませんでした。なんと、2回程度の攻撃パターンループの後、回避不可能の巨大レーザーを撃ってくるのです。
 そのため、この攻撃の前までにこの船を沈めなくてはなりません。結局開発した攻略法はオプション兵器に反物質爆弾を選択し、ただひたすら弱点に撃ちこむといったものでした。そのため通常ステージでは極力オプション兵器は使わずに、回数を溜め込む必要があり、ステージ8くらいまでは全くオプション兵器を使わなようにしていました。
 というわけで、ラスボスだけ極端に強かったのは前作と同様だったわけです。
Shilpheed From PlayStation2
 そして、7年ぶりの2000年、プレイステーション2で最新作は発売されました。前作の設定から31年。今回の敵は謎の宇宙生命体です。この生命体が何であるのかは結局最後まで謎です。

STGとしては?

 今回は、低難易度ながら、大型で良く動く敵がおおく、シューティングゲームとしては間違い無くパワーアップしています。しかし、こういった演出の多くはすでに使い古されたものであり、特にオリジナリティが強いわけではありません。
 また、近くで敵を倒すと点が上がる“メガレートシステム”を採用していますが、これも10年以上前の「OmegaFighter」と言うゲームですでに採用されており、特に目玉となるシステムではありません。
 つまり、STGとしては、水準点は十分超えているものの、抜きん出て優れているわけではないのです。

演出!!

 では、何が作品として抜きん出ているのか?それは、あたかも映画を見ているような演出の数々です。私は良く“映画的演出をゲームに下手に持ち込むとその作品は駄作になる”と言った意味合いのことを述べるのですが、このゲームに関して言えばそのようなことは全く無く、非常に効果的に色々なデモ、台詞回し、シナリオが使用されています。
 演出上の一番の特徴は、映画的演出を多用しながらも、主人公が一度も台詞を言わないことです。いや、主人公が登場しているかどうかすら不確かです。つまり、主人公はあくまで自機“SS77-Silpeed”を操るプレイヤー自身なのです。これは特にステージ途中の演出によく現れていて、自分で戦っているさなかにも色々な通信が飛び込んでくるのです。この演出はMCD版の時からあったものですが、さらに激しさを増しました。STGでは自分一人で多くの敵と戦うと言うシチュエーションが多いのですが、この作品では回りの僚友も必死に戦っていることが肌で感じ取れるのです。

物語的演出

 この作品ではすべての台詞は英語で述べられ、重要なメッセージのむ日本語の字幕が表示されます。また、シナリオの台詞回しも非常に研究されており、日本的な子供向けのシナリオではなく、ハリウッド映画のような台詞回しは良く考えて作られています。
 特に、全ステージクリア直後の僚機との会話は必見。ここで、この展開で、この会話は泣けました。このシナリオ、これを根幹としてそのままSF映画にできるのではないかと思うほど優れています。
 で、全体を通してなんらかのどんでん返しがあるかというと、かえってそれほど奇抜な展開は見せません。十分予想の範囲内にシナリオは収まっています。しかし、だからこそ個々の微妙がシナリオ回しが光り、プレイヤーの感情に訴えかけてくるのです。

 ともかくも、MCD版以降、演出に力を入れてきた本シリーズは、それほど凝った世界設定をもたずとも自然と物語にのめりこませてくれる魅力を持った作品になっています。
 前二作品はほぼ入手不可能かと思いますが、PS2版も間違い無くお勧めです。PS2版は開発元が違うため、ゲームとしてはSilpheedらしくない部分も確かに多いのですが、決してそれがマイナス方向に働いているとは思いません。


関連ページ
株式会社ゲームアーツ
株式会社トレジャー
2000.9.22 起稿
2003.8.24 改訂
Return to 優秀作品保管室
Return to 研究所総合